2009年2月6日金曜日

すれ違いざまの挨拶、発展編 Part.1

「How's it going? How are you? What's upにいちいちまじめに答えない。」に戻る


前の記事で紹介した、

* How are you? (元気?)
* How's it going? (どう?)
* What's up? (どうした?どうしてる?)

の基本対応ができる様になったら、もうちょっと表現力を上
げたい人のために、もうすこしかっこいい、応用的な対応をする
ためのこつを紹介する。

前回紹介した、一言返事の対応方法は間違ってもいないし、
失礼でもない。外国人もしょっちゅう使う。

しかし、よりカジュアルトークを上達させたい場合、
もしくはSocial skill(社交性)を上げたい場合は、
もう一歩ふみこんだ対応の仕方を知っておくと、より
表現力が上がる。

基本は一緒である。
ただし、その場の環境によって、対応を状況に合わせ、
柔軟に変化させるのである。つまり、挨拶代わりの
「ミニ会話」をそこで即席で行なうのである。そう言わ
れるとなんだか難しいことの様に聞こえるかもしれないが、
こつさえ分かれば結構簡単である。

ただし、ここで誤解を招きやすい事がある。相手の挨拶
質問に対して、きちんと対応した返答するからと言って、
前回言った、「これらの表現は、相手の状況を心底知りたい
から聞いているわけではない。だから、ただの挨拶で返せば良い」
といった基本対応の理念は変わらない。要は、「ただの挨拶」
が、「おしゃれな挨拶」に変わるだけである。このミニ会話
に感情を込める必要はまったくない。あくまでも、より凝った
バージョンの「挨拶」なのである。

相手: "Hey what's up?" (よう!どうだい?)

自分: "ummm, not much. How about you?" (特になにも、そっちは?)

相手: "Same old same old" (いつも通りだよ)

自分: "oh yea...?" (そっか)

ここでまず考えてほしいのは、上の表現の一字一句
ではない。ここで紹介している表現自体はまだあまり
重要ではない。なぜなら、これを初めてやろうとすると、
相手からの返事が返ってこないといった事がおき、
会話がうまく成立しないからである。この経験をした事
がある人はいるのではないだろうか。そして、それは
使う文章の問題ではない。

どういうことか。

まず初めに、この挨拶を交わすときの状況を想像して
ほしい。

こういった挨拶は、友達とすれ違い様にするのが
普通である。つまり、二人が通常のペースで歩いて
いるとすると、相手が一言目の"Hey what's up?"
と言ってから、すれ違い、そして二人が背中を向け合い、
会話がとどかなくなるまではほんの数秒の出来事である。

なので、これを初めて試してみると、通常はこういう
ことが起こる。

--- 二人の距離お互い向って1メートルぐらい ---
相手: "Hey what's up?"(よう!どうだい?)
 
--- 二人がちょうどすれ違う ---
自分: "ummm, not much." (特になにも。)

--- 二人の距離お互い背を向け離れながら1メートルぐらい ---
自分: "How about you?"(そっちは?)
                
--- この時点で二人で背を向け、2メートルくらいはなれている ---
相手: "..." (自分の質問が聞こえないか、返事をするのには不自然な距離)

--- 会話は届かない ---
自分: "..." 

つまり、自分が「特になにも」と返答したあとの、
自分の「そっちは?」という質問をしている時点で、
相手が後ろ向きで遠すぎるため、相手が聞こえず返事
をしないか、不自然に振り向き自分の「そっちは?」
に対して無理矢理返答をするかのどっちかになる。

これでは「挨拶」がスムーズにいかず、軽い挨拶の
はずが、毎回ぎこちなく、不自然になる。これでは
やはりまずいであろう。これはまさに、自分が挨拶に
アドリブを入れようと思った当初、陥った状況である。

ここで、秘密を紹介する。ミニ会話の表現よりも何よりも
大事な「こつ」は、


自分: "ummm, not much..., How about you?"

という表現を、

自分: "ummm, not muchhow about you?"

という表現に変えることである。

つまり、通常の会話の時のように、この二つの
短い表現を、間に一息入れて表現するのではなく、
すれ違い様の挨拶の時は、二つの表現をくっつけて、
ほぼ一つの表現の様につなげて言うのである。
(文章なので、あえてニュアンスが伝わる様に、
"much"と"how"がつながるという意味で、"muchhow"
という表記にしてみた。)

些細な表現の違いであるが、これがコミュニケーション
英語とカルチャー英語の違いである。

コミュニケーション英語では、ぎこちないアドリブ入り
の挨拶になる所であるが、これをカルチャー英語版
にするとこうなる。

--- 二人の距離お互い向って1メートルぐらい ---
相手: "Hey what's up?"(よう!どうだい?)
 
--- 二人がちょうどすれ違う ---
自分: "ummm, not muchhow about you?"(特になにもそっちは?)

--- 二人の距離お互い背を向け離れながら1メートルぐらい ---
相手: "Same old same old" (いつも通りだよ)
                
--- この時点で二人で背を向け、2メートルくらいはなれている ---
自分: "oh yea...?" (そっか)


違いが分かっていただけただろうか?

自分の一つ目の返答が、答えと質問に融合されたため、
次に相手が自分の問いかけに対し、自然に答えを出せる
タイミングにまだいるわけである。そして、自分の
「ふーん」的な最後の返答は、背中を向け合って距離が
ちょっとあっても、一言返事というか、ただの音なので、
それも不自然ではない。これによってスムーズに「おしゃれな
挨拶」がうまくいく。

つまりまとめるとこういう流れのステップである。

「相手が何か軽い挨拶」

「それに対する返答&問いかけをつなげ、一つの表現にする」
↓  
「その問いかけ部分に対する相手の返答」

「自分の(ふ〜ん)的などうでも良い反応」

この大事なこつさえつかめれば、あとは表現の
バリエーションをいろいろためし、アドリブを
入れられる様にためすだけである。

ながくなったが、この「おしゃれな挨拶」が
できる様になると、カジュアルトークがもっと
楽しくなる。

Part.2は参考までにいくつかアドリブ例を紹介する。

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