2009年2月11日水曜日

日本人と外国人との仕事に対する姿勢の違い Part. 2

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Part.1で述べた様に、日本とアメリカでは仕事に対する姿勢が
ずいぶんと異なる。そして、ここで考えなくてはいけないのは、
アメリカで仕事をしている我々が、その姿勢の違いを意識しない
と損をする事があるということである。

仕事の上で、理想論を語ると、熱心に仕事をし、それによって
スキルが上がり、成果が上がる事により仕事仲間の敬意が
上がり、自分のやった仕事に対し給料や、与えられるタスク、
ポジションなどもあがる。そして、自分の気にしなくてはいけ
ない事は、熱心に仕事をし、仕事の腕を上げる部分だけで、
残りのステップは自然とついてくる、といったものである。

しかし、現実はそうではない... これは世界中どこへいって
も同じかもしれないが、とくに個人個人の自己主張の強い
自分のいる仕事環境では、彼らの仕事スタイルを把握してい
ないと、理想論で仕事をしているとより損をする事になる。

自分はアメリカで仕事をはじめてから、ずいぶんと長い間この
理想論で仕事をしてきた。とにかく仕事を一生懸命し、実力さえ
上がれば、成果など自然とついてくる、と思っていた。そんな
ことを気にする暇があったら仕事を一生懸命やろうと。

われわれ日本人の感覚からするとこうである。仕事で与えられる
タスク、自分の参加したいプロジェクトと、基本は与えられた物を
やる。もしより自分がやりたいタスクや、プロジェクトに参加
したい場合は、それに見合う仕事のスキルを身につけ、それに
よって自然とそのタスク、プロジェクトを与えられるのを期待する。
結局、「与えられたものをこなす」というのが基本姿勢で、自分から
なにかを要求するとうことは「横柄」であるという感覚があるの
である。

給料や、昇進といったものにも同じ考え方が適用される。より高い
給料や、昇進を求めるのであれば、自分が頑張って仕事をし、成果は
向こうから与えられるものであり、「給料を上げてほしい」「昇進して
ほしい」などと言うこともまた、「横柄」である。

ここで、我々がアメリカで仕事をする上で知っておかなくては
いけないことは、周りの外国人はこのルールに従っていないという
ことである。

こういったカルチャー的な考え方が共通している日本で仕事を
している場合はよいが、ここでは周りがみな違う仕事の姿勢で
いるため、少し考えなくてはいけないのである。

もちろん、仕事に一生懸命にならず、スキルをあげるより横柄な
自己主張をしていかなくてはならない、と言っているのではない。

外国人は、行きたいプロジェクト、行ないたいタスク、欲しい給料
を結構頻繁に主張している。もちろん、これはマネジャーとの
ドアの閉じた部屋での会話のため、普通に仕事をしているとあまり
こういった話を聞く機会はない。

こんな例を考えてみてほしい。

家族を持っている人を想定してみる。
例えばあるプロジェクトが終わったとする。そしてそのプロジェクト
はキツく、ここ1ヶ月ほど、土日も出勤していたとする。すると家族
とあまり時間が過ごせていなく、本人としては次のプロジェクトは
すこし初めが楽なプロジェクトに入り、より家族と時間を過ごせる様
にしたいとする。

このとき、同時期に走っているキツい仕事がもう一つあるとする。
その仕事はこれからあと2ヶ月間、土日出勤であるとする。

ここで外国人がとる行動は、間違いなくこうである。まずマネジャー
の部屋にいき、

「ここ一ヶ月も、自分は会社の為に土日働き、家族とほとんど
時間を過ごせていない。だから、次のキツい仕事には入りたく
ない。家族と時間を過ごせる仕事にいれてほしい。もしどうして
も次のプロジェクトが自分を必要としているのであれば、特別扱い
で土日出勤はなしの条件にしてほしい。」

と。

この言い方は、個人として当然の主張であり、言われてみれば
「横柄」でも何でもない。そして、自分の会社であれば、これを
言われて「ダメだ」というマネージャーは絶対にいない。

しかし問題は、我々の感覚では、こういった事を言っても良い
という事を知らないということである。そして、周りのみんなが言って
いるということも知らない場合が多い。

さらには、自己主張をすることが前提のこのカルチャーでは、
主張をしない人は自動的に「必要としていない」ととられてしまう。

マネジャーが、会社にいる全ての異国のカルチャーを把握して
いるわけはなく、日本人に「おまえは家族の主張をしていない
けど、これはカルチャー的な違いで、本当は家族の為に次のキツ
い仕事に入りたくないんじゃないか?」とは当然言ってくれ
ない(笑)。

なので、当然マネジャーやプロジェクトは、自分を次のキツい
プロジェクトへ誘ってくる。仕事ができれば需要は高いため
なおさらである。次のプロジェクトの人事を管理している人から
すれば当然のリクエストで、自分のプロジェクトが締め切り
間際で、優秀な人は当然欲しいわけである。すると、現プロ
ジェクトが終了し、優秀な人材がフリーになれば、もちろん
次のプロジェクトにお誘いが来る。

ここで、やはり日本のカルチャーのある我々は、一つ返事で
また2ヶ月の土日出勤を承諾してしまう。前のプロジェクトでは
同じだけ辛い仕事を会社の為にしているはずなのに、周りの外国人
達は自己主張をし、次のプロジェクトではきちんと家族と時間を
過ごせる中、この環境に置ける外国人の仕事に対する姿勢を把握して
いないため、我々はまた「仕事だからしょうがない」と土日に家に
帰らない理由を家族に伝える結果になる。海外で仕事をする上で、
我々は日本人であるから、日本人の美徳で海外でも仕事をすれば良い、
だけでは良くない場合も時にはあるのが分かっていただけるのでは
ないだろうか。

つまり、ここで自分が言いたいのは、この自己主張が前提と
されるカルチャーでは、少なくとも最低限自分の得るべく権利は
主張しなくてはいけないという事である。それは周りがみな
主張しているため、それが普通で、それをしない人は自動的に
「欲しくない」ととられるからである。これを主張することは
もちろん横柄なんかではない。

次は給料や、昇進、といったもっと競争が激しく、また
より繊細なトピックの主張の仕方を考えてみたい。今回の
家族と時間を過ごす為の主張は、だれからみても妥当な主張
であるとおもう。しかし、ここにお金や認知、政治といった
ものが絡むと、話が数段ややこしくなる。

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