2008年2月20日水曜日

アメリカンジョークに対する基本姿勢 Part. 1

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他人:「あれ、お前のボールが1つか2つ足りなくないか?」
自分:「え?そんなことないよ」
他人:「俺がいない間にズルしたんじゃない?」
自分:「数え間違えじゃない?」
他人:「ははは、落ち着けよ、おまえ、冗談だよ」
 
この「他人」はその日、バーでたまたま雑談をしていた相手で、
アメリカ人である。当然自分とその人は初対面であり、他人である。
上の会話は、バーで彼とビリヤードをやっていた時の会話である。

この日は、アメリカンジョークに対する基本姿勢をなぜか
忘れていた。相手が初対面のため、奴(笑)のジョークに
対する姿勢が把握できていなかったからかもしれない。
むかつくのは、外国人の中に、このように一つでも
ジョークを拾えず、対応できないと、すぐさま上目線で
話をしだす輩が結構いるということである。

アメリカで生活している日本人で、この経験に共感できる人は
結構居るかもしれない。これはもしかしたら男のエゴの話で
女の人には当てはまらないかもしれないが、雑談の中で、冗談を
言い合い、相手が自分の冗談を見抜けずまじめに対応すると、
「こんなジョークについてこれないのか、だから俺の方がお前より
クールだ」的な態度を取る奴がいる。

「お前らは小学生か?」

と言われるかもしれない。そのとおりである。認めたくないが、
どこの国でも、このように男の間ではある種の縄張り争い的な
事がびみょーに行なわれる事がある(笑)。特にバーなどのSocialな
場においてはその傾向が強い。

我々日本人は、基本的にアメリカンジョークに弱い。というか、
対応に慣れていない。「How's it going?...」の記事でも書いたが、
会話のやりとりにおいて、カルチャー的に日本人はアメリカ人より
かなり「まじめ」である。アメリカにきて間もないころは、この
アメリカンジョークのカルチャーに慣れていない為、我々は
どんな冗談でも、冗談と気づかずまじめに返答する。

さらに、アメリカンジョークのやっかいな所は(というかむしろ、
これがアメリカンジョークの本質であり、美学である)、みな平気で
冗談を真顔で言うのである。可能な限り、あたかも冗談でなく、本気
で言っているようにすることが、より「良い」アメリカンジョークなの
である。

これでは慣れていない人は、分かるわけがない。奴らは嘘に聞こえない
様に、わざと本当っぽく言う努力をしているのである。そしてそれを
理解できないと、上目線で話されたのではやってられない。「真顔で
まったく冗談ぽく言わないんだから、分かるわけないだろ!」
「どうやって見分ければ良いんだ!」と思うであろう。

ジョークについていけないと、上からみられるというのは、上で書い
た男同士の縄張り争いの的な場においてのみで、稀なケースである。

しかし、ここのカルチャーは、ジョークの通じない相手に
は、"One lacks a sense of humor"(ユーモアの無い人)
と言い、このユーモアはここのカルチャーの大きな一部であるため、
そこから派生して「社交性の無い」「まじめすぎる人」
「楽しくない人」というレッテルを貼る傾向がある。ここは
とんでもないカルチャーである(笑)。

もちろん面と向って言うわけはないが、実際に冗談に対応できない
人に対して、外国人がこのような表現をしたことを何度も目にした
事がある。

その日バーを出たあと、自分に再度言い聞かせた。仮に初対面の他人
であれ、アメリカンジョークに対する基本姿勢は変えなくてよい、と。

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