2012年1月3日火曜日

Articulation上達法

「Articulation Skill」の重要性 --- Part.1
「Articulation Skill」の重要性 --- Part.2
「Articulation Skill」の重要性 --- Part.3


実践的な英会話、ミーティング、ディベートの場において、Articulationが必要不可欠であることはこのブログの色々なところで書いているテーマである。

ところがこのArticulationいろいろとやっかいで、そもそも自分の様にその必要性に気づくことさえも通常は時間がかかると思う。ゆえにミーティングなどにおいて責任がでてきて、その重要性に気づいた時点でそのスキルが備わっていないといけない為、既に遅かったりする。

次の問題は、仮に英語を日常的に使っていたとしても、意識していないと何年経ってもArticulationは自然に上達はしない点である。これは英語がネイティブの人でもうまい下手が大きく分かれることを考えると納得がいく。

そして、その重要性に気づいたとしても、このArticulationのレベルを計る方法や、それの上達法などが自分の知る限りではあまり方法論がない点であると思う。

少し話が飛ぶが、Articulationの上達に色々苦労してもう数年が経つ。そして、Articulationのスキルを意識し始めたことは多少影響はあるはずだが、なにか特に良い上達方法を思いついたわけでもないなか、ここ最近なぜか自分のArticulationが急激に上達している事に気づいた。ミーティング中に自分の意見が良く通るようになり、英語が母国語のリーダー達が聞き取れなかった、ニュアンスの難しい意見を拾えているといった場合が出て来たのである。

この上達のきっかけが、最近まで行っていたカナダへの出張によるものである事に気づいた。本社を離れて仕事をすると、仕事の形態で一つ大きく変わる点がある。それは本社とコミュニケーションをとる為に、相当数の電話会議をこなさなくてはいけない点である。自分はカナダの出張7ヶ月ほどの間、ほぼ毎日最低2、3回はロサンゼルスのスタジオと電話会議をしていた。

電話会議でぴんと来ない場合は、これは、デスク等に置いてある普通の固定電話機をグループで囲み、その一台の電話を受話器を取らずにスピーカーホンにして、電話の向こうにいる同様のグループと英語で遠隔会議をすることである。大事な会議であれば当然ミーティング室のスクリーン付きの音質の良いビデオ会議システムを使うのだが、ちょっとしたミーティングであれば手っ取り早いので通常の電話機を使う。

この電話会議ではどんなことが起こるかというと、まずミーティング専用の機器ではないため音質があまり良くない。その上、ビデオ会議ではないので相手の顔が見えず、お互いの表情やハンドジェスチャーといったコミュニケーション手段が使えない。

また複数対複数の電話ミーティングでは、相手の発言が誰によるものかといった事すら判断できない上に、イギリス発音、フランス発音、インド発音、ドイツ発音、と様々なアクセントの人がまぜこぜで話しをしている場合もある。そして、VFX業界のミーティングは、会議の内容は多くの場合が映像を言葉で説明する表現の難しいものである。

言うまでもなく、とにかく初めの数ヶ月はボロボロだった。相手の言っている事はうまく聞き取れず、自分の言いたいことがうまく伝わらず発言を繰り返す事が多々あった。さらにはリーダー職をやっていると、その会話の全員の分の会話を拾う事が自分の責任でもある。その会議で語られていることを全て自分が把握し、だれか自分のチームの人が聞き取れなかったらあとで説明してあげなくてはならない。また、うまく言いたい事が伝えられないメンバーがいたらそれをフォロー、確認するのも自分である。

これらすべてが固定電話機の小さいスピーカー越しに、相手の顔すら見えず複数の人の音声がまざって行なわれるのである。

こんなことできるか!

と正直心の中で思っていた。

このような条件下の電話ミーティングにおいては、100%自分の話している音声だけでコミュニケーションをきちんととらなくてはいけない為、通常の会議よりかなりArticulationスキルが必要なわけである。一回で言いたい事が伝わらなかった場合の言い直しの気まずさも、相手の顔が見えないため倍増する。言葉におけるコミュニケーションのエラーマージンがほとんど無いと表現してもよいかもしれない。

しかし、もちろんまだまだ電話会議を満足いくまでにできるわけではないが、それでも7ヶ月間もそれを毎日こなし、それが会議の基準となっていると、死活問題のため嫌でもArticulationのスキルが向上するみたいである(笑)。

そして、その形態の会議に慣れた頃には、参加者が目の前にいる通常の会議が、かなり簡単に感じる様になると言うわけである。電話会議に比べるとビデオ会議すら簡単に感じる様になる。

つまり、自分は運良くこのトレーニングを7ヶ月ほど集中してやることができたが、意識的にArticulationの向上の為に取り入れる事もできると思う。

たとえば学生友達や仕事仲間数人で、スピーカーホンにした固定電話を囲み、2チームで電話越しに同じyoutubeか何かの映像を流しながらその内容をディスカッションすれば、Articulation向上のための良い練習になると思う。

また職場で英語における電話ミーティングに参加する機会のある人は、それを利用するのもオススメである。最近では自分はどんな電話ミーティングでも、仮に自分が責任者で無い場合もみんなの全ての会話を100%聞き取る努力をしている。これはタダでできるかなり効率的なトレーニングである。

そして、自分のArticulationのスキルレベルを知りたい場合は、上のようなスピーカーホン越しのyoutubeの映像ディベートを、リアルタイムで友達としてみると、Articulationスキルの有無がよくわかるはずである。


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