2009年3月6日金曜日

リーダーシップに要求される英語力

読み物タイトル「日本人にとって、いち外国人として組織を
率いるのが難しい理由」に戻る



読み物タイトルでちょこっと述べたように、日本人が外国の
組織を率いるのがニガテな理由の一つに、やはり
英語という要素が多いにあるのは間違いないと思う。

この読み物の趣旨は、この想像しやすい英語という理由と
は別の、あまり一般的に認知されていない様々な理由を書いて
いきたいのだが、この項目の一つ目の書き物なので、あえて
王道の英語がなぜ難しいかというのを書いてみたい。

よくアメリカで見る組織のリーダーなどの求人情報
には、必ず条件として"excellent communication
skills"(ずば抜けたコミュニケーション能力)と
表記されている。これを初めて見た時は、「その
職でコミュニケーションが良くできなくてはいけない
のはあたりまえだろ」と思った。

これは日本語に当てはめれば想像がつく。たとえば会社の
幹部の人が、交渉や、ミーティングで、難しいコミュニ
ケーションをあまり把握できていないとしたら。もしも
ミーティングでクライアントの言った表現やニュアンスが
難しいのに、ミーティングの責任者が把握しきれて
いなかったら、これは大変であろう。

しかし今考えると、実際に、どうして、そしてどれくらい
英語のコミュニケーション能力がexcellentではなくては
いけないかは想像できていなかった。当時の自分に、
「じゃあ当たり前と思うなら、どのくらいなコミュニ
ケーションの能力が必要か言ってみろ」と誰かに言われて
いたら、「んんん,それは...」と答えられていなかった
と思う。

つまり、リーダーには"excellent communication
skills"が必要といろいろな所で言われ、当然のことの
様に思えるのだが、実際にはどれだけ難しい事かが自分
には全く分っていなかったのである。

一言で言うと、外国人の組織においてリーダーになる
ためには、母国語が英語である国の人より、英語がうまく
なくてはいけないのである。

これも日本に当てはめてみれば分かりやすいのだが、
組織のリーダーたるものは、若かったり、表現力がまだ幼い
チームメイトのコミュニケーションを補ってあげるのも
仕事の一部なのである。

母国語が英語であるひとでも、説明が得意な人もいれば
苦手な人もいる。または、人前で説明が苦手な人もいれば、
若いアメリカ人など、英語の理解能力がまだ比較的幼い
人もいる。

そういったチームメイトがたとえばミーティングで誰かに
指示や説明をされたとする。そして、その人が100%内容を
理解していない場合、その人の代わりに理解し、それを彼に
分かりやすく説明してあげるのはリーダーの責任である。
つまり、アメリカ人の理解できなかった英語を、自分が拾い、
補い、後で分かりやすく英語で説明してあげなくてはいけ
ないのである。

逆の例もある。

例えば会議でチームメイトが何かを説明し、その人が説明が
あまり得意ではないときはそれがうまく伝わらないことがある。
するとそのチームメイトの伝えたい事を、その場の彼の少々
表現が足りない説明から把握し、それをミーティング参加者に
代わりに分かりやすく説明し直さなくてならないのもリーダー
の仕事である。

つまり、英語が母国語の人が表現足らずで説明し、さらには
英語が母国語の人が理解できなかった内容を、リーダーは
同じ条件で彼らよりも理解し、よりうまい表現で英語で
説明し直さなくてはならないわけである。

難易度はさらにあがる。

通常の会話が難なく話せるひとでも、人前や、大勢の
人数の前では説明が苦手な人は沢山いる。これは母国語が
英語であろうが無かろうが関係ない。プレゼン、パブリック
スピーキングのスキルである。そして、たとえばミーティング
で自分のチームメイトがグループに何かを説明しようとするの
だが、プレゼンが苦手だとする。もう同じパターンだが、
この場合、リーダーは彼の代わりによりうまい英語の
パブリックスピーキングで代打をしなくてはいけないの
である。

これらの例をまとめると、外国人の組織で求められる
リーダーの英語のスキルは、英語が母国語の国の人より、
英語における会話の:

表現力、理解力、説得力、そしてプレゼン力が
長けていなくてはいけないのである。

これは正直かなり難しい...

これは英語が母国語ではない我々日本人に、いつか達成
できるゴールですら無いかもしれないが、少なくとも、
求められるものが把握さえできれば、それに向ってスキル
アップを試みる事はできる。

外国の組織の中でリーダーを目指す為には、まずは要求される
英語力を把握し、次にそれを目指す事が我々にできる事では
ないかと思う。その難易度を理解し、目指す所を決めることが
現実的な第一歩であると思う。

2009年3月3日火曜日

[読み物タイトル] 日本人にとって、いち外国人として組織を率いるのが難しい理由

なぜ日本人は外国がニガテか? 〜問題提起でも書いたが、
日本人は国際的に何をしても優秀であると思う。

そんななか、いろいろな能力に長け、国内には沢山のリーダーが
いる中、いち外国人として、その環境で上に立つような日本出身の
リーダーの存在がもっといてもよいような気がする。

別の言い方をすると、良い意味での日本びいきの無い環境に
おいて、我々はリーダーシップを発揮する事が苦手なのでは
ないだろうか。

もちろん、英語という言語の壁が大きいのは言うまでもない。
しかし、今の時代英語が話せる日本人は結構おり、英語だけが
理由では無いような気がしてならない。

自分が外国で日々試行錯誤するなか、我々日本人にとってむずか
しく、克服していかなくてはならないことを発見するたびに
書いていきたいと思う。

より国際環境が身近になって来ている今こそ、こんなテーマを
考えてみたい。

「リーダーシップに要求される英語力」へ進む