英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法 Part.1 英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法 Part.2 英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法 Part.3a 英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法 Part.3b まず始めに、簡単な例を考えてみた。
"Geez, it's been raining all week, I really hope it doesn't rain on Sunday".(おおい、今週ずっと雨降ってるけど、日曜は降らないでくれよ。)
すごくなんでもないフレーズだが、誰かに
(A). 普通のスピードで、真顔で表情をいっさい変えず、声の音程も普通の高さをずっと維持し、ただ棒読みしてみよう。
"Geez, it's been raining all week, I really hope it doesn't rain on Sunday".
おそらく「ふ〜ん」と言われるか、"yeah"の一言を返されるか、「ん?何か答えた方がいいの?」といった感じになるかもしれない。
そして次は、
(B).
* "Geez"を空を見上げ目を少し見開き、「じーず」ではなく、
「じ・
いーず」風に、「い」を強調して
* "It's been raining all week"の部分は首を左右にふり、"all"と"week"を
強調しスタッカート調に
* 3秒間合いを開ける
* そして"I really hope"の部分は、"really"を目を大きく開けて首を二回ほ
ど上下に振りながら、単語をゆっくり「
り〜り」のように伸ばし、初
めの「り」をより強調して言い
* "it doesn't rain on Sunday"は普通に
例)"「じ・
いーず」, it's been raining
ALL WEEK, ..... I「
り〜り」hope it doesn't rain on Sunday".
(A)と(B)とでは同じフレーズでも、表現の仕方で伝わり方がかなり違ってくる。(B)の方が相手が自分の言っている事に親近感を持ってくれるであろうし、説得力もある。おそらく「ふ〜ん」よりも会話が進むであろう。コニュニケーションとしての質が高いと言えるかもしれない。
自分が思うに、英語を母国語ではない人が話しているのを聞いていて、「うまいなあ」と思うのは、こういった種のコミュニケーションのできている人である。このコミュニケーションのうまい下手に、文法、発音、単語力などは関係ない。
実際に、(B)はジャパングリッシュでも、完璧なネイティブな発音でもあまり効果は変わらない。逆に(A)をどんなに完璧な発音で話しても面白かったり興味深くは絶対に聞こえない。
英語における雑談のなかで、極めて重要と考えるストーリーテリングなので、かなり長いエントリーになる。長いので3つの副題で区切ってみた。
1. ストーリーテリングとは?なぜ大切か。
2. ストーリーテリングは難しい?
3. ストーリーテリングを上達させるには?
3a. まずは短いストーリーを用意する
3b. 「話せない」経験をしたら次は?
3c. 上達のポイント
1. ストーリーテリングとは?なぜ大切か。ストーリーテリング、すなわち自分の経験談や自分の知っている興味深かったり、面白い話を英語で友達に「語る」事である。会議や仕事の事務的な会話みたく、伝えたい事を簡潔に分かりやすく話すのが目的ではなく、物語を相手に楽しんでもらえる様に語るスキルである。
我々に一番馴染み深い例が、日本のバラエティー番組でのトークであろう。芸人や俳優が興味深い話をおもしろおかしく披露し合うあの感じである。話のうまい人が、面白く興味深い話を披露すると、その場に居る人や視聴者を楽しませることができる。
英語におけるストーリーテリングの難しさや、上達法の前に、なぜストーリーテリングが大切かと自分が考えるか。これは、
「コミュニケーションがより楽しくなる」
「コミュニケーションの質が上がる」
「雑談の基本構成であるから」
「うまい人の雑談は、大部分がストーリーテリングによって行なわれているから」
である。楽しくみんなで話すのは雑談の基盤、つまり社交性の基盤でもあるからである。
ストーリーテリングがうまくできる様になると、英語での雑談がもっと楽しくなり、社交性が上がる。
英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法 Part.1でも書いたが、外国人のホームパーティーやランチが苦痛ではなくなる(笑)。
海外で仕事、生活をしていると、パーティーやランチなどに誘われた時に、仲間と英語で会話をしていてもどうも楽しめない、という経験をしたことがある人は多いはずである。自分もそんな時期が何年もあった。日本語と同じ様に英語での雑談が楽しめればと思ったことがある人は自分だけではないはずである。
ストーリーテリングができるようになると、この問題がずいぶんと解決される。
2. ストーリーテリングは難しい?日本語でも当然トークがうまい人と、そうでない人もいる。同じストーリーでも、語り手によって聞こえ方や面白さが全然変わってくる。これはストーリーテリングのスキルである。日本語でも得手不得手があるストーリーテリングは、当然外国語でも難しい。
しかし、日本語で難しければ難しいほど、早めから徐々に取り入れるべきだと思う。日本語でも難しいことこそ、他言語での実用的なコミュニケーショにすごく大事だったりする。
日本語でも難しい場合は、逆に言うと言語だけを覚えても自然とできるようにはならないという事でもあると思う。日本語でもできない(難しい)ことを英語でできるわけがない、と考えるのではなく、英語を覚えると自然とできるものではない、語学力とは別のスキルなので、早い段階から意識して経験を積んだ方が良いと自分は考える。
ちなみにこのエントリーは「英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法」のPart.5もしくはカジュアルトークの第4ステップに相当する。(Part.4および第3ステップはこのエントリーの簡易版なので次回にまわす。)
もし「英語でのカジュアルトーク(雑談)上達法」を読んでいただいた方には、「第4ステップか、先長いな」と思われるかもしれないが、第3ステップまででも十分に雑談はできるし、もっと大事な事は、第4ステップはすごく大事なので、早い段階からゆっくりと徐々に取り入れた方が良いと思うことである。
自分はそれをしなかったので、英語が満足に話せるようになってもストーリーテリングができない、つまり英語におけるコミュニケーションにおける表現力が未熟、という経験をした。
3. ストーリーテリングを上達させるには?まず、ストーリーテリングを試みるのはどれくらいの英会話ができるようになってからがよいのか。理想は日常会話が満足にできる「前」から始めるべきだと今は思う。
もちろん日常会話が不自由な段階でストーリーテリングをするのはより難しいが、それでもやる価値があると思う。
自分が行なった具体的なやり方はこうである。
3a. まずは短いストーリーを用意するまず、自分の体験でも良いし、もしくは知人の話、面白いニュースなど、なにか短くて、興味深く、面白いストーリーを一つ見つける。
英語でのカジュアルトーク(雑談)上達方法 Part.2 の第4ステップのリストを利用すると
-自分の面白い経験談
-面白い話
-面白い記事、情報
-自分の見た、笑ったテレビ番組、ラジオ
-自分の見た、興味深いテレビ番組、ラジオ
-自分の見た、面白い映画の話
-自分の面白い友人の話
など。これは日本語のストーリーでも良い。そして、一度それを誰かに英語で話してみる。ポイントは、短いストーリーであること。理想を言うと、自分の経験した面白かった出来事が良い。その自分の面白かった体験を、英語で語って面白さを体感してもらうのが目的であるからである。相手が自分のした面白かった体験を、自分のストーリーテリングによって体感してくれているか(していないか(苦笑))が一番分かりやすいからである。
もちろん相手無しで一人でやっても良いが、やはり実践が良いだろう。友達と学校や仕事場でも良いし、昼食中でもよい。もし日本語での体験談や、日本語の出来事を英語で話すのが難しい場合は、まず時間をかけて英語に訳してもよいだろう。仮に文章がまるまる紙に書いてあっても、それをうまく語るのは別のスキルであるからである。
もしストーリーテリングの切り出し方が分からない場合は、オーソドックスな方法で、
"So... I was" (ところで、。。。)
と沈黙がある時に友達に唐突に切り出せば良い。もしくは、誰かが似たような話題を持ち出した直ぐ後に切り出すのも良くあるパターンである。ちなみにこの切り出すタイミングも繰り返しているとつかめてくる。
例えば、
"So... I was at this party with my roommate last night..."
(ところで、昨晩ルームメイトとパーティー行ったんだけどさ。。。)
"So... I was reading this Japanese news yesterday..."
(ところで、昨日日本のニュース読んだんだけど。。。)
"So... I was at this rental car place earlier..."
(ところで、さっきレンタカーしにいったんだけど。。。)
そしておそらく起こる事は、沈黙がありすぎたり、途中でつまってしまって最後まで話が続かなかったり、何を言っているか分からなくなったり、オチをうまく話せなかったり。
すると愛想笑いをしてくれるか、親切にぎこちない話に付き合ってくれるか。最悪「何が言いたいんだ?」「なんでそんな話したんだ?」といった雰囲気ができるかぐらいであろう。でもそこは勇気をもって失敗する。まあ通常は外人は英語がうまくない日本人にやさしいので、失敗しても大丈夫だろう。
大事なのは、とにかく簡単なストーリーを誰かに英語で語ってみる。そして、うまく英語でおもしろおかしく「話せない」体験をまずすること(酷!)。
3b.「話せない」経験をしたら次は?すると、次はちょっと話し方を変えてみる。めげずに何度も「同じ話」をしてみる。自分も何度も短い同じ話を色々な人にしていた。(もちろん同じ人に同じ話をしない様に(笑))。
とにかくストーリーテリングに「慣れる」ことが大事である。これは英語の日常会話がまだ難しい人も、事前に用意された短い自分の体験や、面白いニュースを話す試みはできるであろう。
英語のレベルにあまり関わらず、一度用意された短い同じストーリを、何度も語るわけなので、これは何度もやっているうちに少しずつうまくなってくる。
同じストーリーを反復練習したのではストーリーテリングがうまくなるわけではないのでは?と思うかもしれないが、これは自分の体験から、同じストーリーを反復練習していても、英語でストーリーを語るという「こつ」がつかめてくる。
そして、そのストーリーをうまく語れる様になると、その試行錯誤の経験が、次のストーリーを語る時に少しずつ効いてくる。
もちろんこのストーリーは練習しまくったのでうまく話せるが、次の新しいストーリーはまたうまくいかない。でもこれの繰り返しで何個もストーリーテリングをしていると、だんだんストーリーテリングに共通した要領がつかめてくる。
たとえばあるストーリーのオチを、反復練習の結果ある表情とトーンで話すとうまく伝わり、より面白く聞こえるとする。その感じで語るこつを覚えれば、慣れてくればどんなストーリーを語っている時でも、練習せずともそのような場面で自然と面白く語れる様になるというわけである。
ストーリーテリングは、短い体験談を反復練習することによって、一つでもうまく語れる様になると、上達が感じられてモチベーションも続く。もちろんその体験談はすぐに雑談に使えるわけで、結果も見える。そして、反復練習なので、やればやるほどうまくなる。
3c. 上達のポイント自分の考える上達のポイントは簡単で、
- うまい人をまねすることにより、単語/フレーズ/表現の緩急と
タイミング、トーン、声量(発音が含まれない点に注意)、表情や
ジェスチャーの使い方を感覚で覚える
- 不必要な間を作らない
- 上の二つを意識しながら、とにかくうまくなるまで同じストーリー
を何度も多くの人に披露する
ストーリーテリングが、通常の会話と違う所は、話の「流れ」が大事である点である。一番初めの例のように、おなじ話でも緩急の付け方、フレーズのトーンなど、話し方によって聞こえ方が全く違ってくる。これは会議で相手に意思を簡潔に伝えるのとはノウハウがまた違う。
話し方を覚えるために自分がよくやったのは、仲の良い友達や、気心のしれた知り合いが学校や会社にいるのであれば、そのひとに繰り返し同じストーリーを話して聞いてもらう。"shit talk"(雑談のスラング)の練習に付き合ってくれというと、大体欧米人はおもしろがって付き合ってくれる。
気前の良い友達なら、より良い語り方を教えてくれる人もいる。自分は仕事の後にバーでよくこれに友達に付き合ってもらっていた(感謝!)。"How would you tell the story?"(おまえだったらこのストーリーどうやって語る?)とストーリーテリングがうまい人に聞けば良い。
話し方をいろいろ変え、面白い語り方を見つける。そして、うまい人に自分のストーリーを語ってもらい、そこから、うまい人の語りの緩急のつけ方などを覚えるのである。この2点だけである。
先にも書いたが、目標は、反復練習によりいろいろな語りのこつを覚え、どんなストーリーでも練習せずとも自然とうまい表現で語れる様になることである。
ちなみに目安としては、相手が自分の話を待ってくれている、愛想笑いをしてくれる、落ちが来るのをまっていて、来たタイミングでわらってくれる、などは全部向上余地がある。本当に話をうまく話せていると、相手が興味津々で自分の話を聞いているのがわかるはずである。
自分はこの英語でのストーリーテリングができる様になってきたあたりで、外国人との雑談が日本人と話している時の感覚で楽しめる様になってきた覚えがある。
雑談が楽しめる様になると海外での生活がずいぶん楽になる。ストーリーテリングはできるだけ早い段階から習得を試みると良いと思う。