2013年10月7日月曜日

He's funny?

このブログのテーマの一つである英語における社交性において、ユーモアは大きな要素であると思う。特に欧米文化では"Sense of Humor"は色々なところで必要であり、家族、友人関係、恋愛、仕事、と、ユーモアが大事な場面は数多くある。パーティーなどで面白い話題を提供し、人を笑わせられる人をみて、いいなあと思ったことがある人はいるのではないだろうか。

さて、誰かが"He's funny"(あの人は面白い)といった表現をしたとき、対象のひとにどういったイメージを抱くだろうか?自分のなかではこの"He's funny"という表現には大きく分けて二つのパターンがある。

一つ目はうまい話術によって人を笑わせるスタイル、そしてもう一つが自分のことを面白く見せて笑いを誘うスタイル。

自分の理想を言うと、基本はこの前者の話術によるコミュニケーション、そして話の流れの中で必要なところに後者のスタイルをスパイスとしてちりばめるといったのがうまいコミュニケーションだと思う。

たとえば最近の流行どころではPeter Dinklageなどがうまい。

0:56:30-0:57:45など。ちなみにこれはうまいストーリーテリングのすごく良い例でもあり、ストーリーテリングを練習してみたい人はこれを何度か聞いて、話の筋を覚えたら友達にお願いしてアドリブで自分でこの話をしてみる。するとストーリーテリングの難しさが分かると同時に、良い練習にもなる。)

逆に面白く見せるほうだけを極端に行うとこのようなイメージになる。


どちらのケースも場に笑いが起こり、"He's funny"という表現を使うであろうが、二つには大きな違いがあり、使うスキルも違う。

「後者なんかやらねーよ」、と突っ込まれそうだが、ちょっと考えてみる。例えば不自然な日本語英語や日本文化をネタにした(侍、すし、ポケモンなど)自虐的ジョーク、これらは自分を面白く見せて笑いを誘うスタイルの日本人バージョンだと思う。自分も含め、海外で雑談中に面白く振る舞おうとすると、日本人が意外にやりがちで、このスタイルに傾倒しがちであることを少し意識しておいた方が良い。

もちろんこういったジョークもスパイスとして使うのは良いが、それを主体にしない方が良い。Dinklageのストーリーテリングの最中にも二度ほどそういった顔芸、体芸、声芸が入っているが、みんな話の流れの中でスパイス程度に使っているのがポイントである。

さらにこの自分を面白く見せるスタイルのジョークは、長期的に見るといくつか注意したほうが良い点がある。まず、このスタイルのほうが行うのに敷居が低いこと、そしてこの類いのジョークを使い慣れてしまうと、社交的にもなり、友達もできるので、そのスタイルにより依存するようになる。

しかしこのコミュニケーションにはArticulationストーリーテリングアドリブSense of humorといった要素があまり必要ではないため、いくらやっても人を惹きつけるような話術は身に付かない。

そして、同じ"He's funny"と言われる場合でも、この二つのタイプのコミュニケーションでは、表面的には笑いを提供し周りの人を楽しませるという意味で一緒だが、その根底にある相手に発信しているメッセージがまったく違うのである。

いつものごとく友達の外国人数人にこの二つの印象を対比して聞いてみた。

「話術、ストーリーテリングで笑わせる」

子供はまねしない。
自分も習得したいスキル。
友達として楽しそう。
賢く見える。
このスキルのある人に対してリスペクトの念がある。
彼氏に持っていてほしいスキル。

「自分を面白く見せる」

子供がまねをする。
グループの中にそういう人がいると楽しいが、自分がまねをしたいとは思わない。
友達になりたい。
楽しい気分の時はつるみたいが毎回は辛いかも。
まじめにとれない。
自分の女友達に彼氏として紹介するときは少し控えてほしい。

英語にするとより明白で、前者は"Witty"または"Have a good sense of humor"と言われ、プラスイメージ、後者は"Clown around"と言われ、どちらかというとマイナスイメージである。特に他人が行っている場合は両者とも"He's funny"で片付くが、本人がそれをやるかと聞いてみると後者は酔っぱらっているときならね、と茶化される。

逆に"Witty""Have a good sense of humor"の方は巧みな話術、Articulation、ストーリーテリングやクールさなどが必要であり、これらを習得すれば仕事のミーティングにも、プレゼンにも、パーティーでの雑談にも応用がきく。そしてよりリスペクトされるのも、異性にモテるのも(笑)、ひとを「笑わせる」ことのできるコミュニケーション力である。

さてこの"Wit""Good sense of humor"は一朝一夕には身に付かないため、英語における社交性を身につけようと思ったら早い段階から意識しだすと良いと思う。また、「自分を面白く見せる」コミュニーケーションを使える人も、平行して「笑わせる」話術も身につけていくのがベストだと思う。


次はDinklageのようなうまい話術のポイントや、自分が試行錯誤のなかで覚えてきたノウハウを紹介していきたいと思う。