2009年12月22日火曜日

「Articulation skill」の重要性 --- Part.2

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Part.2は、なぜこの「Articulation Skill」が、海外で働く
上で重要であると自分が思うかを掘り下げてみたい。

まずはこんな経験を披露してみる。

仕事をする上で、過去の仕事の経験等から、自分が認めて
もらっている分野がいくつかある。例えばその分野が必要な
新しいプロジェクトが入れば、自分が相談を受けるといった
分野である。

そんななか、その分野が必要なプロジェクトに参加していた
際に、どのミーティングに参加しても自分の意見が無視される
といった経験をした。

このプロジェクトのセッティングとしては、自分の他に、同僚の
Aという存在があった。

この項目は、書き方を間違えるとAに対する愚痴に聞こえてしまう
可能性があるのだが、状況分析の為の例ととらえてほしい。

その仕事の中でのミーティングにおける会話はこんな感じである。

上司: 「で、〜についてはどう思う?どういった手法が
ベストであろうか?」

A: 「〜の方法や、〜の方法がある。」

上司: 「うん、そうか!確かにその通りだ。それは良いアイディアだ。」

自分: 「〜の方法や、〜の方法もある。こういった方法もうまくいった。」

上司: 「...」

上司: 「それでA、お前の手法についてだが、〜、〜。」


このプロジェクトにおいては、このような感じのミーティングが
自分にとって数多くあった。そして、議題は自分の過去の経験や
プロジェクトにおける実績のある分野にもかかわらずである。

ひどい場合、それでも食いついて意見をしていくと、仮に正しい
有用な意見を言っていたとしても、自分が煙たく扱われる場合さえ
ある。実際に、こういった場面に出っくわすとかなりきついし、
こたえる。いままでの自分の経験はどうなったのだ?とも思いたく
もなる。

もう分かるかもしれないが、このAと自分では、Articulation Skill
にかなり差があったのである。Aは自分の同僚の中で、このスキルが
抜群に優れていると思う。

当たり前のことかもしれないが、人は「正しい」意見より、
「正しく聞こえる」意見を聞く。人によっては「正しく聞こえる」
意見から「正しい」意見を見分けられる人もいるかもしれないが、
例えば上司がその人の専門ではない知識を部下に求めている場合は、
その見分けは難しく、やはり正しく聞こえる意見を聞くであろう。

さて、ここまでキツい状況は極端な例ではあるが、Articulation Skill
の重要さを自分が実感した良い例である。さらに極端な場合は、
仮にAが間違った意見を言っていたとしても、状況は変わらなかった。
これは正直キツい。「あの人がものを言うと、何を言っても正しく
聞こえる」という人に出会ったことがある人はいるのではないだろうか?

このように、正しいことを言っているはずなのに、議論において
負けることを経験すると、このArticulation Skillの必要性
にいやでも気づく。

自分の場合、一度のミーティングで数回このような場面に出くわ
すと、解決の足しになる経験のある人の意見を聞きたくないのなら
じゃあいいよ(大人げない。。。)、と意見をする気をなくしていた。

(これをおまえはミーティング中にフリーズすると親友や、
マネージャーに怒られる。)

そして、以前はそのArticulation Skillのある人を煙たく思ったり、
なぜ自分の意見を聞いてくれないのか、さらには間違った意見でさえ
正しいように言う方が悪い(これは実際にいかんが。。。)、などと
自分の意見を聞かない人のせいにしていた。

さて、ここで親友に一度ガツンと言われたことがある。ミーティングに
おいて、正しい意見を言い、チームをあるべく方向に導くのはリーダー
としての仕事だろう。もうそういった責任が有る以上は自分一人の
仕事ではないのだから、フリーズは許されないと。

その通りである。しかし正直、同時にその意見は「キツいなあ」とも
思った。自分なりに簡単にあきらめていたわけではないからである。

発言の仕方を色々工夫したり、Aの発言方法を見習ったり、
マネージャーに意見を聞いたり、いろいろ試したのだが、その
プロジェクトはどうしてもミーティングにおいてAの意見に
競り勝てなかった。

これはその人のArticulation Skillが極めて高かったのもあると思うし、
そのプロジェクトのその上のリーダーがそういった性格、能力を評価
し過ぎたというのもあるかもしれない。しかし、理由はどうであれ、
そのプロジェクトにおいては自分はリーダーとして失格である。

さきにも書いたが、このプロジェクトは極めて極端なケースでは
ある。全てのプロジェクト、ミーティングがここまで難易度が
高いわけではないし、ここまで競争が激しいわけでもない。

いまの自分のArticulation Skillでも通常は発言できるのだが、
こういったシビアな状況があるという事を経験できたのは、その
プロジェクトに参加した事による一番の収穫だったかもしれない。

さらには、想像するに、ポジションがより上がればもっとこういう
状況はより増えるであろう。

ちなみに、ポジションがうえであれば、うえであるほど、みんな
このArticulation Skillにかなり長けている。さらにはそこまで
上がった人々は、みな社内政治、自己アピールのスキルにも長け
ている。これからはさらに、こういった人々とミーティングを
重ねていかなくてはならないし、意見が対立した場合、議論に
勝たなくてはならない状況もある。

結局、原因は、自分のArticulation Skillの低さにあったと
思う。英語は日本人にとって第二外国語であるから難しいのは
当然だが、それももう責任が有る以上は言い訳にはならない。

仮にこういったシビアなミーティングにおいても、きちんと
プロジェクトをうまくまわす為に必要な意見を、人々に「聞かせる」
Articulation Skillを覚えなくてはならない。

最後に、いままで10年ほど、自分は英語圏における
コニュミケーション能力や生活能力を上げる為に、私生活を含め
意識的に外国人のみと生活をしてきた。にも関わらず、この
Articulation Skillの重要性に気がついたのは比較的最近である。
上のような悔しい思いをしないと気づかないからかもしれない。

また、日常生活を、何年も英語で外国人とのみしているだけでは、
苦手な人にとっては上の例のようなシビアなミーティングで、
満足いくようなArticulation Skillは身に付かなかった。

つまり、自分の様に苦手な人は、意識的にそれを上達させて
いかないと身につかないと思う。

Part.3は、上達の活路を見出す為に、英語における
Articulation skillとは、具体的にどういうスキルかを、
自分なりの定義で掘り下げてみたい。


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2009年12月3日木曜日

「Articulation skill」の重要性 --- Part.1

いま自分の中で旬な英単語がある。

「Articulate」という単語をご存知だろうか?
自分は、ここ数年まで、接する事のない単語であった。

面白い事に、日本語にはこれに相当する単語が無い。

辞書を引くとこんな感じである。

* 英語:

Expressing oneself easily in clear and effective language
(http://www.thefreedictionary.com/articulating)


* 日本語:

〈考え・感情などを〉明瞭、効果的に表現する.
(http://ejje.weblio.jp/content/articulate)


* 自分なりの、今の生活環境にあった定義はこんな感じであると思う:

「自分のその場で思い浮かぶ考えを、瞬時に、簡潔に、誤解無く、説得力をもって、表現する」

である。

この「Articulation skill」、こっちの環境で仕事を
経験すればするほど、重要になってくる。特にこのブログ
のテーマの一つでもある、国際環境におけるリーダーシップ
においては、無いと致命傷とも言えると思う。

このことに気づくのが自分はちょっと遅かった。もっと
はやく気づきたかった。この項目を書く事により、いつか
どこかで誰かが、自分と同じことを目指した場合、自分より
早いタイミングで気づいてくれると、うれしい。

英語におけるArticulation skill、最近マネージャー
に頻繁に言われる、リーダーを目指す上で、自分が不得意で、
磨くべくスキルである。

もちろん、英語においてのコミュニケーションの時のみ
の話ではない。ただ、その重要性が、ここのカルチャーでは
さらに増すと思う。

「オバマ大統領の演説を見れば誰でもそれが重要な
ことぐらいわかるだろう?」

「そんな事はよく一般的に言われていることではないか?」

と突っ込まれそうだが、思うにこの話はもっと奥が深い。

このArticulationの話、もう1ヶ月ほど書いているのだが
いまいち表現したい事がまとまらない(文章におけるArticulate
ができていない?(笑))。書けば書くほど、書きたい事が増える。
なので細かくパートにわけ、沢山書いて行こうと思う。

Part.1は、Articulationの定義、および問題提起に
とどめておく。

Part.2は、自分の経験から、具体例を通して、なぜこれほど
に重要と感じるかを書きたいと思う。

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