2009年9月3日木曜日

社内政治が嫌い、または不得意で不快な思いをしている時に

突然だが、こんな状況を想像してみてほしい。

例えば人物Aが長年あるバーで働いており、Aはその店の
まわし方を誰よりも知っており、その店での経験は誰よりも
長く、知識も経験も豊富であるとする。いずれはそこの店長
になる事が目標で、そのポジションをうまくこなすためには
何が必要かを、いろいろ考え、勉強や努力もしている。

あるとき今の店長が店をやめる事となり、そのポジションを
引き継ぐひとを現在の社員のメンバーから決めなくてはいけ
ないとする。

そして、次期店長に選ばれたのは、「オーナーのお気に入り」
の「人気者」のBであったとする。Bは「クール」な性格で、
特に「管理職に気に入られる」様なタイプの人である。
(この上の4つのキーワードの理由は後半で説明したい。)

Aは自分の方がこの店長の仕事にBより向いていると思って
おり、なぜ自分ではないのだと、不愉快な思いをする。

さて、このAの状況に自分がいると仮定した場合、
どう思い、どういう行動をするだろうか?

このような状況で、以前自分が思い、とっていた行動は
大抵こんな感じであった。

* むかつく

* Bを選んだオーナーのせいにする、もしくは
オーナーに見る目がないと愚痴る

* Bはごますりがうまいといった趣の悪口を友達と言う。

* 自分はこの店には向いていないと考える

* 自分は社内政治に向いていないと考える

* この店は自分のことが分かっていない。こんな店で
働くのは無駄だから、店を辞める、もしくは辞めると
愚痴る。または自分と同じような境遇にいる同僚と、
そんな会社辞めた方がいいんじゃないといった会話をする。

さて、ここ数年思う事は、上のような考え方は間違って
いたということである。少なくとも、上のような考え方
よりも、より自分にとってプラスになる考え方があると
考える様になった。

このような話から自分の得た事は2つである。

一つ目は、どんな理由であり、自分が何か目指す物がある
とする。それにたどり着くための仕組みが自分の理想とは
合わない場合、どうするか。それに対する愚痴を言う、
自分には合わないとあきらめる、場所、環境が変われば
良くなると思う(これは多くの場合、結局どこに行っても
大抵の仕組みは一緒なので、その考えは現実逃避の場合が
多い)。というのが以前の自分の考え方であったが、いまの
考えはこうである。

この場において、愚痴を言うのは甘かったということである。
本当にそこを目指す価値が自分にとってあると判断し、その
仕組みが気に食わないのなら、まずはその仕組みに従い、
その流れに対応するくらいの辛抱がまずは必要である。
そして、そのときにまだ自分が仕組みが気に入らないので
あれば、自分がその仕組みを変えられる位置まで辿り着い
たら、そのときに自分の理想に変えれば良いのである。

今現在その仕組みをコントロールできる位置に居る人々は、
当然彼らにも理想があり、そこに辿り着くまでは、だれか
他の人の、自分の理想とは異なる仕組みの中で、辛抱もし、
現在その位置に居るのである。その辛抱もせずに、自分の
理想論や愚痴を言ったり、その場を逃げるのはあまいと
いうことである。

二つ目は、Bのことをごますり上手といった様な見方
をしているうちは、自分はまだ管理職になるために
必要な、いろいろな性格やスキル、人間性を備えて
いないということである。

上のBの人間性の説明は、以前の自分の見方であり、
すべて愚痴、皮肉、ひがみといった種の表現である。

しかし、上の例で、Bを「クール」と表現したのは、
言い方を変えれば大事なクライアントと対応する際に、
仕事を任せてもらう上での信頼を得る為のリーダーと
しての大切な人間性である。どんなに個人として仕事
ができても、例えばクライアントにこの人の率いる
チーム大丈夫か?と思われるようなイメージではリーダー
はつとまらない。

「人気者」と表現したのは、リーダーの立場にいる
人は、たとえばキツい仕事を受けたときに、みんなが
きついなか、その職場を自分の存在、言動により和める
ぐらいの、社交性が必要である。

「オーナーのお気に入り」とう表現をしたのは、
仕事では、各役職ごとにその仕事の性質により求め
られる人間性が異なると思う。管理職には管理職ゆえ
の仕事に対する責任があり、それをこなす上に必要な
人間性もまた異なる。「管理職に気に入られる性格」
という表現も、つまりはリーダーの立場の人からみて、
リーダーの仕事に必要な素質があるという意味でもある。

つまりは、Bのことを上のような捉え方をしているうちは、
自分は、まだまだあまかったということである。

個人としての仕事のスキルと、組織を率いるリーダー
に必要とされるスキルは全く違うと思う。このスキル
の違いの存在は一般的に広く認知されているかもしれない。

しかし、自分の様に、そのリーダーシップに必要なスキル
が備わっていない場合、その存在や必要性に気づかず、
なぜ自分がその役割を任せられないのかが分からない
ものであると思う。

自分はずいぶんと長い間こういった疑問を持っていた。
そして、自分が辿り着けないそのポジションに辿り
着く人を、上のBの説明のように、マイナスのイメージ
でとらえていたのである。

恥ずかしながら、このマイナスの考え方から抜け出すの
にずいぶんと時間がかかってしまった。この考え方が
正しいかは自分の経験がもっと増さないと分からない
だろうが、これが現時点での自分の経験から信じている、
社内政治、リーダーシップに対する考え方である。

少なくとも、以前の考え方よりは成長している
事を願う(笑)。